1.1. 『ジャングルキューブ』という木の玩具                 三宅 敬造  ‘70土木

「ジャングルキューブ」ってなんですか? 30mm角の木のサイコロの真ん中に丸穴を、横に半円を開けたものを組み合わせて棒を挿入する玩具です。  遊び方は特にありません。積木で遊んだり、自分でイメージしたものをサイコロと棒で造って楽しむ遊びです。 そして遊び終わったら立方体のケースに収納するのですが、これも遊びです。 3×3×3の27個型が基本ですが、数が多く面倒なので、2×2×2の8個型が扱いやすいです。

左図の様に穴無しが15種類、穴有りが14種類の29種類あります。 当初は種類も少なく名前も「癒しのキューブ」でスタートしました。最終的に29種類ある事がわかりました。 ところがこれらをすべて木で作るのは木目で割れるパーツが多く、一度は諦めてました。それで 3Dで作ったのが下左です。でもなにか味気ないのでやはり木に拘り、挑戦しました。

 

 

それで出来たのが下右です。(これは0型00型を除いた27種類を1個ずつ使って棒を12本入れたものです。)

 

でもこんな単純シンプルな玩具が今迄何処にもなかったのが不思議でなりません 本当にどこにもないのか、少なくともネットでは出てきません。ただ似たような木の玩具がスイスのCUBORO社で販売されています。これはサイコロの彫った溝にビー玉を転がす玩具でした。 そこで特許事務所に打ち合わせしましたところ 「このジャングルキューブはすでにネットに出しているので特許申請しても成立しません。」 と。  もともと子供たちと遊ぶ目的なので 「そうなんですか!」 との想い。  そういえばユーチューブでは工夫したものがたくさん出てるけれど、特許申請中という表示は見たことがありません。それよりみんなに見てもらった方がいいのでしょうね。

【作製手順】 

 

1) 無垢のサイコロ作成 30×30mmの角材を鉋掛けして、卓上丸鋸で長さ30mmに切断、サンドペーパーで磨きます。

 

2) A】 中穴明-ボール盤でΦ15mmの穴明  B】 サイド溝穴明2個のサイコロを合わせた中間にボール盤でΦ10mm~15mmの穴明  AB29種と木目の柾目、板目、軸方向によって穴明順序、穴径、穴明方向を考慮しながら、そして反対側からも迎え彫りをしながら穴を明けます。また円と半円の接点は厚さが0mmになりボール盤では壊れるので 小さめの穴を明けた後、接着剤を浸透させ、切削研磨することになります。その都度とても手間のかかる作業です。

 

3) 仕上げ 丸穴と半円溝をサンドペーパーで研磨します。 最後に熱した蝋にどぼ漬けしてサイコロ完成です。

 

4) 挿入棒 Φ15mmの丸棒を15mm弱に研磨して 27個型は90mm、8個型は60mmに切断

 

5) 90×90×90mmおよび60×60×60mmのアクリルケースを作り,キューブと棒を収納して完成です。

 

【製作時の失敗】  

 

試行錯誤で初めは30mmの角棒に先に穴を明けて後から切断しましたが、これは鋸の厚み分、半円が浅くなるので結局先に30mmに切断してから2個を合わせ、穴を明けることにしました。 またボール盤での穴明時に木目で割れる、欠ける失敗が数多くありましたが、接着剤の使用や穴明順序など次第に工夫して、割れず欠けずに加工する方法を見つけました。

吉祥寺の井の頭公園で土日に店を出し、ジャングルキューブなどで子供たちが遊び、完成させて喜ぶ姿を見るとこちらも嬉しくなります。

 

また老人ホームで認知予防になればと思いお年寄りとおしゃべりしながら遊んでいます。